「ん〜…」

嫌いなアラームの音で目が覚めて、ダブルベッドで転がっても相変わらず誰にもあたらない。



「…起こしてくれればいいのに。絢くんのばーか!」


絢くんが使っている枕に顔をうずめ、めいっぱい本人には言えないことを言ってやった。



「嬉しそうだけど。なんかあった?」

出勤するとさっそく玲華に勘づかれた。
朝から絢くんには言えないことを枕相手にめいっぱい言ってきました、なんて言えないから少し誤魔化したけど。





「莉茉ちゃん!玲華さん!」


玲華と他愛ない話をしながら歩いていると、後ろから聞き覚えのある声で呼び止められた。


「佳奈ちゃん!おはよ〜!」

ヒールで勢いよく走ってきたこの子は江藤 佳奈ちゃん。

私の一個下だけど妹みたいに可愛い子。