#06 おかえり!


 週明けの月曜日。

「おはよ、美香。なにみてんの?」
「へへ」

 大地くんに買ってもらったペンを、教室で手にとって、まじまじと眺める。

「チンアナゴじゃん」
「知ってるの?」
「水族館でも行った? 愛しの大地くんと」

 こちらから説明する前にズバリと当てられてしまった。

「うん」

 自分の言ったことが当たると思っていなかったのか、目を見開く若菜。

「マジか。それでそんなに上機嫌なのね。ついに会えたんだ?」
「あたし。大地くんと。結婚する」
「は?」
「婚約指輪欲しいなあ」
「は!?」

 次に会うときは婚姻届にサインしてもらおうかな。大地くんの気持ちが変わらないうちに。

「待って。なんでそんな話になってるの」
「んー? 色々あってね。あたしには、大地くんしかいないなって思った」
「まさか、妊娠するようなこと……」
「してないよ。あたしと個人的な繋がりをもつなら、そのくらいの覚悟したいってさ」
「かた!……っていうか、重」
「ふふ」
「そっか。それは。よかった……の?」
「いいに決まってる」