この日の昼休み、わたしとカスミちゃんは国語の伊藤先生に生徒指導室に揃って呼び出された。

なぜ呼ばれたのか、なんとなく予想はついていた。

きっとこの間の課題だ。

「本当のことを言ってちょうだい?明らかにおかしいのよ」

椅子に座って背中を丸める。スカートの上の手のひらには嫌な汗をかいていた。

顔が引きつり呼吸が浅くなる。

動揺するわたしの隣でカスミちゃんは微動だにしない。

「おかしいって何が?あたしが愛奈に課題をやってもらった証拠はあんの?」

「証拠はないわ。でもね、こういうのって性格が出るものなの。作文だってそうよ。書き方はひとりひとり違う。それがいいのよ。でも、二人の作文や課題の書き方が似通ってる。前から不思議に思っていたけど今回のことで確信したわ」

「くだらない。似てることぐらいあるでしょ。それをこうやって生徒指導室にまで呼び出して説教するなんてどうかしてる。愛奈もなんとかいってやんなよ」

カスミちゃんが苛立ったようにわたしの背中を手のひらで叩いた。

カスミちゃんがわたしの顔を見つめている。

その顔には『どうすればいいか分かってるよね?』と書いてある。

「あっ、先生……。ち、違うます。わたしはカスミちゃんの課題をやってあげたりしていません」

「ほらね。愛奈だってそう言ってるでしょ?」

わたしの答えにそれ見たことかと得意げな表情を浮かべたカスミちゃんとは対照的に先生は眉間にしわを寄せたままわたしをじっと見つめる。