やってしまった。

今朝、大失態を犯したわたしの心臓ははち切れんばかりにドクドクと鳴っていた。

あぁ、どうしてわたしは忘れてしまったんだろう。

カスミちゃんへのモーニングコールを。

「アンタのせいで遅刻ギリギリになっちゃったんだけど」

自分の席に座り、背中を丸めて小さくなっていたわたしの背中を教室に入ってきたカスミちゃんは通学バッグをフルスイングして叩いた。

つけられていたキーホルダーの先っぽが背骨の辺りに当たり酷く痛み、思わず顔を歪める。

「ご、ごめんね。本当にごめんね……」

慌てて立ち上がって頭を下げるわたしをカスミちゃんが見下ろす。

「次やったら、殺すよ?」

教室中の視線がわたしに向けられている気がする。

圧倒的な恐怖で体中が寒くもないのに震えだす。

「ご、ごめん……」

カスミちゃんはわたしの机を怒りに任せて蹴りつけると、そのまま自分の席へ向かった。

クラスのみんなはカスミちゃんの怒りの火の粉が自分に降りかからないように、カスミちゃんから視線をそらして再び友達との会話を始める。