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放課後、昨日と同じく校門の前で待っていた來たちと合流する。


私は迷わずに來の後ろに乗った。


後は少々揺さぶって、懐に入ることだけを考えればいい。


來の背中にしがみ付いたとき、彼が何かに気付いたようにぎこちなく振り返った。


良かった。ヘルメット越しでも感じてくれたんだ。


私が付けている香水に。


だけど來は何も言わずに、二人の後を追うようにバイクを発進させた。


この時間が一番安心できる。絶対に來には顔を見られないから。


他のメンバーは誰一人何にも感じていないようだけど、來だけは微かな違和感を感じている。


それでいい。あの子の面影を感じながら私に夢中になって。