ルイスと別れてから、先ほどのやりとりを思い起こしていた。ルイスの口から怒涛の勢いで出るのは、ユーリに対する褒め言葉。いや、褒め言葉なんてものを超えている。無条件の信頼。それは好意と背中合わせのような言葉だった。

「好意……」

にわかに信じられないものを見聞きした気分だ。あの女嫌いのルイスが、ユーリに対して興味を抱いている。確かに、ユーリはこの国の女性とはかなり様子が違う。それは、自分の立ち位置がはっきりしないせいもあるかもしれないが……

どちらにせよ、自分は今、迷っている。ルイスとユーリが近付くことをよしとすべきかどうか。

驚いたことに、ユーリは初めて対面したルイスに対し、異性としての興味を全くと言っていいほど示さなかった。あるのはただ、腕の立つ剣士としての尊敬のような思いのみ。

確かに王太子という立場は伏せていた。しかし、王城勤めであの容姿の男ならば、多くの女性はなんらかの反応を示すものだが……