「うぅ……ん……」

はあ……
また朝が来ちゃったのかな……
またあの職場に行くのか……

起きなきゃと思う反面、ずっとこのままでいたいと思ってしまう。
往生際悪く目を開けずに、昨夜見た夢に想いを馳せる。

懐かしかった。家族の一員だったこむぎが出てきて、お喋りまでして。内容はよく覚えてないけれど。
久しぶりに会うこむぎは、可愛くて、温かくて、もう随分長いこと感じることのなかった、優しい気持ちを思い出させてくれた。




起きないと……

必死に目を開けると、見慣れぬ天井が飛び込んできた。

「石……?」

なかなかエンジンのかからない頭を、必死に働かせる。

「えっ?石!?」

自体を飲み込めず、思わず飛び起きる。

「な、何この部屋!!ここはどこなの?」

上も下も、右も左も石のようなもので作られた部屋……

「ここはアルベール王国の城の中。女、調子の悪いところはないか?」

「えっ?」

突然野太い声が聞こえて、体をこわばらせる。人がいたなんて、全く気付いていなかった。