「未茉、シャワー行くでっ!!」
「おー!」
ひとまず午後練が終了し、体育館を出ると
「あっ、あれぇ翔真ぁー!!」
廊下の隅でタオルで汗を拭きながら、完全に力尽きて一人しゃがんでる翔真を発見し駆け寄る。
「なんや、しゃーないな。気ぃきかせてうち先に行っといてやるで。」
耳元で静香はそう恩着せがましく言いながら、
♪うちは~~いい女ぁやでぇ~~~♡♡と自作自演の歌を廊下に響き渡る声で歌いながら軽やかなステップで去っていった。
「あははっ!!何あの歌」
疲れていた翔真も思わず笑ってしまうと、
「あー、今恋してるから上機嫌なんだよ。うぜーくらいに。」
目の前にある自販機に立ち、未茉はお金を入れてボタンを押す。
「静香ちゃんが恋?誰に?」
「匠兄。」
「それはそれは…」
「なんか両思いだから心配ないらしいよ。」
「それはそれは・・・??」
どこをどうしたらそうなるのか分からない翔真が顔をあげると、
「はいっ!!」
翔真の両頬にヒヤッとした冷たいポカリを押しあてて未茉は微笑み、
「冷たくて気持ちいい?」
そう尋ねるあどけないやんちゃな笑みが翔真のストライクゾーンで、
「可愛すぎて殺されるかと思った……」
「へ?」
反則すぎるその仕草に思わず翔真はポカリを持っていた彼女の腕を引っ張り自分の方へ引き寄せた。