「アンリ。一緒に食べよう」


ゴウは今日もあたしを誘ってきた。


笑顔で『うん』と答えようとしたとき、視界にイブキが入ってきた。


イブキはあたしと視線がぶつかり、ほほ笑んでくる。


そしてあたしの机の上にあるネコサンシャーペンを見て目を輝かせたのだ。


あたしの机へ向けて指をさし「それ」と、ほほ笑む。


一連の動作を見ていると、やっぱり胸がドキドキしてきた。


声に出さない会話は2人だけの特別なものだ。


「……ごめん。今日は教室で食べる」


夢に浮かされているようなぼーっとした気分で、あたしはゴウへ向けてそう言ったのだった。