コンコンッ


『はーい。』


ささやく程度の返事が聞こえて来る。
ゆうかは、目を合わせずに、無言を貫いている。


『ごめん。さっき、ちゃんと話聞かなくて。』


『別に、大丈夫。』


『別にって言うとき、大丈夫じゃないときでしょ。』


かけられていたバスタオルを、首元まで引っ張って顔だけを出す。


『苦しかった。死ぬかと思ったけど、広瀬先生がすぐ治してくれた。』


『そっか、よかった。』


体を起こして腕を回して来る。軽く爪を立てて、


『なんで、もう誰にも触らせないって言ったのに。』


震える声を聞いて、腕に力が入る。
顔を見なくとも、肩で息をするゆうかがどんな状況かは明らかだった。


『うん。触らせるつもりはなかった。』


『また、胸がぎゅーって、苦しくなった。広瀬先生も優しいけど、泰志じゃないと、、』