1週間後、地元の音大のホールを会場にアンサンブルコンテストが行われた。

1年生がみんな緊張でガチガチになる中、私と智恵は普段通りのんびりしている。

「絶対、智恵と美音、変だよ。
なんで緊張しないの?」

と半ば責め気味に同級生に尋ねられる。

私と智恵は顔を見合わせた。

「なんで緊張するの?」

智恵が尋ねる。

「緊張するでしょ!
もうすぐ本番なんだよ。」

だから、私が答えた。

「だって、今日はソロじゃないんだよ。
友達と一緒に演奏できるんだよ。
楽しいじゃん。」

そう、私にとってアンサンブルは楽しみでしかない。

私はエレクトーンのソロコンテストに小学1年生の時から毎年出ている。

地区ファイナルのステージも合わせると10回以上、1人で戦ってきた。

それに比べてアンサンブルは、1人じゃない心強さがある。

間違えちゃいけないけど、間違えてもフォローしてくれる仲間がいる。

私はエレクトーンでも、6年生までアンサンブルコンテストに出場していた。

智恵を含めた同じグループレッスンの仲間6人とエレクトーン6台でアンサンブルをする。

すごく楽しくて、ずっと続けたかったけど、中学進学と共に、みんな個人レッスンのみに移行し、必然的にグループは解散に追い込まれた。

だから智恵とは、去年までエレクトーンアンサンブルで毎年一緒のステージに立ってたんだ。

それを思えば、アンコンなんて何でもないと思う。