「本当、どうなるかと心配したわよ」

「ほんとよね…」

しみじみと呟く親友の2人と、待ち合わせしたのは、プロポーズされた日から2週間ほど経った頃だった。

駅前近くにあるカフェ[コンフォルト]で、お世話になった2人に食事をご馳走する為に来てもらったのに、注文が終わるなりお小言が始まったのだ。

「多岐川さんだっけ?あの人、向井さんのことボロクソに言ってたらしいわよ。莉子と喧嘩したぐらいでメンタルダメージが仕事に影響するほど弱い男だと思わなかったって…謝れって言っても逃げてっちゃうし、ヘタレすぎて、コイツ○○コついてるのかとか、まぁいろいろ…」

その多岐川さんが、私を見て笑っていたのは、声もかけれない朝陽が逃げてしまったことに、『どうしようもない奴ね』と笑いかけていただけだという事。多岐川さんと話す機会があって誤解が解けたら、意外と彼女はいい人らしいと思うようになった。

「まぁ彼女が、向井さんに喝を入れたおかげよね」

「そうね。目が覚めたって感じかしらね」

「その後の行動の早かったこと…旦那を通して私達にあれこれと頼んできて、仲直りもしてないくせにプロポーズするとか言い出して、向井さんは(男って)女心ってものがわかってないのよ」