───波の音、月明かり。 「ここなら、死ねる…」 誰にも聞こえないように呟いたのに。 「死なせねえよ」 勢いよく振り返ると、怪しげに笑う男がそこには立っていた。 「なん、で…」 GPS機能のついた携帯は置いて出てきたのに。 「なんでだろうなぁ…?」 砂利を踏む音が嫌に響き、とうとう距離はゼロになった。 「俺から逃げられると思うなよ。」 その言葉を最後に、私は意識を失った。