「遅いな…」 夜8時を回っても兄貴は顔を見せない。 さっきまで時間が早く過ぎるように感じていたのに、 今は1分1秒がとても長く感じる。 携帯を学校に持っていってはいけないため、 家に帰って1番に見ると、 『夜7時過ぎには家に着くよ』 という一言がお昼に来ていた。 壁の電波時計は午後8時18分を指している。 連絡しようと電話をかけようとしたその瞬間、けたたましく固定電話が鳴り響いた。