4月20日。
今年も兄貴の命日になった。

朝から家の仏壇にお線香をあげ、手を合わせ、
「俺はもう大切なものなんて作らないよ」
と声をかける。



つい1週間前、よーママから
「最近お昼過ぎになったら
何かを探すように駿の家の周りをじろじろ見てる
気味の悪い男がいるんだけど…」
と連絡が来ていた。
変な胸騒ぎがして掃除する目的以外で初めて兄貴の部屋に入った。


何度も目をつぶってきた手紙を前にすると
冷や汗と鳥肌で押しつぶされそうだった。

目を閉じ、大きく息を吸ってようやく部屋に入ることができたのが昨日だった。