少しだけ、怖かった。 あの日、兄貴が死んで、 父さんにまで裏切られていたことを知った あの日。 もう大切なものは作らない。 そう自分に言い聞かせ 誰に対しても常に一線を引いてきた。 それなのに、 陽菜や颯太は俺を頼り、 耀は俺に頼れと言う。 大切なものは作らない。 どんなに信じていても いつか彼らを失うときがくるから。 俺は、一人で構わない。