「ありがとうございました……」

涙で瞳を潤ませながら、花村咲(はなむらさき)は診察室を後にする。先ほどまでたくさん泣いたはずなのに、また涙がこぼれ落ちそうになった。

「あたし、神様からこんな素晴らしい贈り物を貰えるほどいいことしたかな?」

咲は手に持っている紙を見て呟く。そこにはある検査結果が書かれていた。

「奇跡って本当にあるんだね……」

これで大切なあの子を助けられる、そうとわかれば行く場所はたった一つだ。

「瑞穂ちゃん、入るよ〜」

藤田瑞穂(ふじたみずほ)とネームプレートが書かれた病室に咲は迷うことなく入って行った。



咲と瑞穂は幼稚園の頃からいつも一緒にいる親友だ。明るく活発な咲と人見知りで優しい瑞穂。二人はお互いを支えながら毎日を過ごしていた。

「咲ちゃん、公園で遊ばない?」

「いいよ!バドミントン一緒にしよっか」

喧嘩をしてしまうこともあったが、咲にとって瑞穂の存在は家族と同じくらい大切なものになっていく。しかし、小学校をもうすぐ卒業するという時、咲は瑞穂にこう言われた。