ケータイ小説 野いちご

浅葱色の約束。─特別編─





カラカラカラ───、


下駄の音が響く。

ずっとずっと先まで続く赤い桃燈の並ぶ道。
この時代にしては珍しい程、とても明るい場所。

──夜の町。

欲望の渦巻く町。それが、島原。
…なんて、藤堂さんは言っていたけれど。

なんていうか、
大人の町だ。

通り過ぎる男女は腕を組んで歩いているし、郭枝の中から見つめる瞳。

女は手招きして男は舐めるように見つめている。



「姉様、新入りどす」



その建物の1室の奥、

裏側──とも呼べるそんな場所へと案内した1人の男はその襖の先へと声をかけた。

朔太郎も私も思わず2人で手を繋いでいた。

…初めての場所。
初めての人たち。

土方さん達も居ない、そんな場所に私達だけ。



「何や、今日は3人もおるのかい?」



襖から出てきた女。
そして、その先に1人の女の子。

同い年ほどの少女が1人。
この子がきっとそのお偉いさんの娘。




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