ケータイ小説 野いちご

浅葱色の約束。─特別編─





「ん。」
と、言って。

隣に座った私へとお猪口を差し出してくる。



「お酌を頼んでるんだよ、梓」



沖田さんが助け船を出すかのように付け足した。

側に置いてあった瓶を持って、そして土方さんのお猪口へとこぼさぬように注いだ。



「…美味い」



口へと運んでそう呟いた副長。

お酒ってそんなに美味しいんだ…。
どんな味がするのかもまだ想像出来ないけど、、、



「下戸なくせに無理しちゃって。それくらい、何かあったんですね」



沖田さんはそう言って少し笑った。


その”何か”は、私が知らなくていいこと。
知らない方がいいこと。


私はまだ土方さんや新撰組のことを知らなすぎる。
表面の綺麗なところしか見えていないから。
本当は私の見えていないところでどんな事が行われているのか。


…何も、知らない。


それでもこの人はきっと知らなくていい、と言うんだろう。




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