「朝から何をしているんですか?泰揮。」

「あら、起きてきちゃったの?」
「当たり前です。そんな甘い香りが漂えば誰でも目を覚まします。」
「な~んだ、残念。」


「おい、朝からなんつう香りを…。」
「花月、大丈夫!?泰揮、花月になれなれしく触らないで。もう…僕の花月が…。」

「あら、誰もアタシのことは気にしてくれないの?」

「大丈夫…ですから…皆さん、そんな騒がしくしなくて大丈夫です。」

「貴女がいいか悪いかではなく倫理的な問題です。」


くらくらする頭を押さえながら立ち上がる。

「朝食に…しましょ。」

「大丈夫か…?これ、絆創膏…。」


聖さんにもらった絆創膏を首に貼り椅子に座る。まだ立ちくらみが治らず頭が重い。


「これじゃあ、とてもじゃないけど勉強会どころじゃないね…花月、部屋で寝ておいでよ。その間に…泰揮にお仕置きしとくから。」


こんな時も桃瀬さんはどこか黒い。お言葉に甘え部屋に戻る。


「血を吸われるって、結構体力いるんだな…。」
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「それじゃあ吐いてもらおうか…朝の出来事について。」

「奏、それ刑事ドラマ…。」
「証拠は全部上がっているんだ。言い逃れはできないぞ。」

「ゴメンナサイ…どうしても自分を抑えられなくて…。」
「やけに素直ですね…そんなにも魅力的でしたか?彼女の血は…。」

「あの子の血は…柚ちゃんの血以上だったわ。血を飲みこんだとき身体中が熱くなった。もっと、もっとってアタシの中の何かが望んだの。」

「あいつの血…どこにも汚れが無く甘い…。俺の時もそうだった。吸えば吸うほど理性がきかなくなる中毒性を持つ。」


「さすがは生贄の花嫁…とでも言っておきましょうか。ですがこのままでは花嫁にする前に彼女の命が尽きるでしょう…これからは常識をわきまえた行動をしてください。」

「分かってる…もうあんな思いはしたくないからな…。」