「ん…朝か…爺や、モーニングティーを。」

いつもの鳥の鳴き声が聞こえない。爺やが来る気配もない。

そうだ…悠夜さんたちの屋敷にお世話になっているんだった。いつもとは少し違う朝を迎える。

今は朝の6:30。食事までまだ時間はある。


「とりあえず着替えよう。」

ベッドから起き上がりクローゼットを開く。昨日の夜はネグリジェだけだったからさほど困らなかったけれど、洋服の着合わせなんて考えたこともない私には何を着ればいいのか分からない。それに見たことが無い洋服ばかり。袖が無い服、短すぎるスカートやズボン…。こんなの着たら雪乃に、怒られそうね。

「着るしかないか…。」

1番目を引いた白のレースの服とジーンズ生地の短パン。ネグリジェを脱いで洋服を着てみる。

「意外と悪くないかも…。」

でも、こんなに短い洋服だとさすがに寒い。クローゼットにかけてあった上着をとり羽織る。

こんなかんじでいいかな?


時計を見ると、気づけば時計は6:50を指していた。


「朝食の時間…行かなきゃ。」
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「おはようございます…。」

「おはよう!昨日はよく眠れた?」
「はい。少しは眠ることができました。あの、他の皆さんは…?」

「悠夜と奏クンはもうそろそろ起きてくると思うわよ~。劉磨クンと聖クンは朝ごはんを食べないの。」

「そうなんですか…。」


「おはよう!」
「全く、朝から騒がしい。少しは静かにできないのですか?」

「あ、お2人ともおはようございます…。」

「さあ、みんな揃ったからご飯にしましょう。」

「いただきます…。」

今朝の食事は、ポタージュ、スコーンにオムレツ。とても温かくて美味しい。

「あ、それと花月さん、今日から午後の予定は空けといてください。」
「午後…ですか?何かあるのですか?」

「学校だよ、学校!」
「学校…?」

「僕たちが通う夜間制の学校なんだよ。昼過ぎから夜22:00まで屋敷に1人きりにするのは寂しいかなって思って。一緒に行ってみない?」

「いって…みたい…です。」

「入学手続きは既にしておきました。あと、これを貴女に渡しておきます。食事中に席を立つなど行儀が悪いのであまりしたくはありませんが…。」


大きな袋を渡される。中を覗くとスカートとシャツが入っていた。

「これって…?」
「制服だよ。とりあえずサイズが分からなかったからMサイズにしちゃったけど。」

「ありがとうございます…。」

「学校には皆で行きますので、14:00頃には降りてきてください。」

「はい。あ、ごちそうさまでした。」
「お粗末様でした。」