ケータイ小説 野いちご

拝啓、いつか声をくれた君へ

SECOND
SIDE A

隣県にあるじいちゃんちに来て3日目。
今日も、近所の孤児院に畑で取れた野菜を届けに来ていた。

「ゆきやくん、毎日ごめんねー、手伝いまでしてってもらっちゃって」
「大丈夫ですよ、俺も小さいこと話すの楽しいですから」
「助かるわ、何せ人が多いから」

先生と話しながら、辺りを見回して、ふと思う。

「今日、なんか、いつもより楽しそうってゆうか…」
「わかる?今日はね、お姉ちゃんが帰ってくるの。もう高二で、一年以上前にここを出てったんだけど、久しぶりに帰ってくるからみんな嬉しくて」
「なるほど、それで」
「そう、今、歌音が迎えに行ってる」

門の前で雑談をしていると、後ろから聞き慣れた声がした。まさか、と思って振り返る。そこには、そらと歌音ちゃんがいた。そらは気まずそうに俯く。

「ああ、帰ってきたみたい。ゆきやくん、確かあの子と同い年よね、せっかくだから、ゆっくりしてって」
「すみません」

それだけ言って、そらの方に走り出す。こっちの方からラノさんの声がしたのに。

「そら!こんなとこで何してんの?」

そう声を掛けると、そらの肩がピクリと動く。

「なあ、今さラノさんの声がしたんだけど、気の所為?」
『気の所為じゃないの?』

驚くくらいの早さでスマホを見せてきたそらは俺が読んだのを確認すると、歌音ちゃんを引っ張って全力で逃げていった。

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