ケータイ小説 野いちご

拝啓、いつか声をくれた君へ

SECOND
SIDE L

ゆきくんと出会ってから、3週間ほど経って、5月になった。

今日は休日で、1人でベッドに寝ていた。

すると、手に持ったスマホが震える。
相手は“先生”。孤児院の先生だ。月に1回電話をくれる。

「もしもし、蒼乃です」
『もしもし、元気?』
「元気だよ、学校も楽しいし」
『学校?』
「高校だけど、え、なんで?」

学校、と言う言葉を出すと、あからさまに慌てる。なにか、おかしいこと言った?

『いや、今までの電話で学校なんて言葉出てこなかったのに』
「そーだっけ?心配かけてた?もしかして」

軽く笑ってみせると、先生は「いや」と言葉を濁らせた。

『そうゆう訳じゃないのよ、心配は少ししてたけど』
「あ、してたんだ、私なら大丈夫だよ、相変わらず喋れはしないけど、友達は出来た」
『友達!?』
「めっちゃ驚くじゃん、友達くらいいるよ」
『どんな子?』
「んー、面白いよ」
『へー、安心』

かれこれ、この電話は14回目だ。
これまでの13回、一切学校とか友達って言葉を出さなかったのか。誰でも心配だろう。

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