田所支店長は 30代半ばの 温厚な人だった。

結婚して 子供がいる支店長を

私は 男性として 意識したことは なかった。


上司としては 尊敬していたけど。


いつも 清潔なワイシャツを着て。

幸せな 家庭人だと 思っていたから。


部下に対しても 理不尽な要求をしないし。

誰のことも 平等に 助けてくれたから。


私を 特別に 思っていたなんて。

私は 全然 気付かなかった。


「雪穂…好きだ。ずっと 好きだった…」

支店長は 私の名前を呼びながら

何度も 熱いキスをする。


「支店長……」

キスの合間に そっと問いかけると

「博幸。」

そう言って もう一度 私の唇を塞ぐ。




そのまま 私は 支店長に 抱かれた。