橘くんは憧れの存在だった。


目立つことが苦手な私は、人前に立つことも、授業中に発言するのも嫌で。

“普通”に過ごすことを望んでいた。


そんな中、橘くんは私と真逆のような人で。
誰に対しても優しく笑顔で接し、男女問わずの人気者。

勉強も運動もできる彼は完璧人間で、まさに彼こそが目立つべき存在の人なのだ。


そんな橘くんとは1年のときから同じクラスで、彼は瞬く間にクラスや学年を超えて有名な人へとなっていた。


歳上の先輩に話しかけられているところを何度か見かけたことがある。

きっと彼は誰にでも好かれるのだ。