橘くんと恋人のフリをすることになってから早1週間が経った。

けれど、橘くんのとなりを歩くのは一生慣れそうにない。


「姫野さん、おはよう」

付き合ったとうわさが流れた次の日から、私たちは一緒に登下校することになった。

最初はためらいがあったけれど、橘くんに『この方法が一番信じてくれる』と言われたため、素直に受け入れることにした。


「お、おはよう……橘くん」

私と橘くんは同じ車両で待ち合わせをして、学校の最寄駅へと向かうけれど。

正直、1週間が経った今も周りから視線が感じ、寿命が縮まりそうな思いだった。