あたり一面暗闇が落ちている。


 声も出なかった。


 ただ恐怖が心を支配し、あたしは絶望の中に1人とらわれていた。


 新菜。新菜。


 暗闇の中で、誰かがあたしの名前を呼ぶ声だけが聞こえる。




「――っ、新菜」




 はっ。


 重たい瞼を開き、そこにいたのは美依だった。


「〜〜っ、美依!」


「ちょっと暑苦しい……へへ、ありがと新菜」