〜新菜side〜


「これが大体のあらまし」


 そう締めくくられた玉緒の話。それを聞き終えたあたしの脳内に浮かび上がっていたのは、ショートカットのおどおどした後ろ姿だった。


 亘光希。覚えている。いや、むしろ何で今まで忘れていたんだろう?


 彼女はたしかに、あたしたちの仲間だった。


 だけどあたしが3年生のある日、忽然と姿を消した。


 お父さんが転勤族でもともと地元の子じゃなかったから、大人たちもそんなに真剣に探しはしなかった。


 そして、みんなの記憶から光希は忘れられていった――。