「…健斗、大丈夫か?」


俺の目線に合わせるために座り込んだ新。


「大丈夫な、訳がない」



…今日は、信じたくないが透花の葬式だ。




「ははっ、嘘みたい。」


乾ききった笑い声を発し、そういう絢兎。

ほんと、嘘みてぇだよな。


今にもムクっと起きて、わたし生きてる…?
とでも言い出しそうなのに。





忘れたいけど、忘れもしない透花が亡くなったあの日。

涙を流しながら、透花を必死に引き留めようとしたかったけどやっぱり無理で。


透花の最後の顔は、安らかな笑顔なんかじゃなくてやっぱりどこか苦しそうなそんな顔。



その苦しげな顔が俺に伯爵をかけて、
更に涙が溢れた。



責めた、自分を責めて、病院の先生にまで当たった。


「なんで助けてやれなかったんだよ…っ!
てめぇ医者だろ、?!」


ってな。



…みっともない。


「本当に、僕も心が痛いっ…。
…知ってるか?人が死ぬから命が尊いって。
七瀬のお陰で、尊さがわかったかもな、」



透花の担当医はそう言った。


透花がいなくなるくらいなら、尊さなんて
知らなくてもよかった。