ケータイ小説 野いちご

タイムスリップなんて聞いてない

壱ノ巻 タイムスリップとかマジ?
弐 バレるの速いだろ

ー夜ー


「いくらなんでも買いすぎな気がする」



「気のせい気のせい」



いやこれは絶対買いすぎだって!!

十着越えてるよ絶対。

めっちゃ重いんだけど服だけで。



「ところでさーお優ちゃんが言ってた
 『お鈴ちゃん』って誰?」



「…俺の妹ですよ。俺に似てるんですすごく」



嘘だ。


御免なさい沖田さん。


嘘ばかりで御免なさい。


私は…俺は嘘偽りでできてるんです。


こうやって生きてきたから


素直に生きれないの。


でもね年下の兄弟がいるのは本当。


五歳下の弟。


“俺は”彼奴が大嫌いだった。


“私が”どんなに頑張って見向きもしてくれない。


親は“私”でも“俺”でもなく


弟を選んだ。


だから家族は嫌いだ。


“理不尽”で成り立っている家族。


そんなの家族なんて言わないでしょ?


知ってたんだ。


本当は。


この山に“私”も“俺”も捨てにきたんでしょ?


知ってたよ。


悲しくなんてないけど。


優を巻き込んだのが1番の失態。


だから“俺”は誰かのために死ぬ。


ずっとそう決めてたんだ。




「鈴?」



物思いにふけっていると沖田さんが呼ぶ。



「あっすみません。考え事をしていたもので」



「ううん全然ヘーキヘーキ。
 でさ、嘘ついてるよね鈴?」



「何を言って…あっ…」



この人気付いてたんだ。


鈴ちゃんと呼ばれたときに少し安堵した表情をしてしまった“俺”を。


あぁ、もう終わりだね。


新撰組は女人禁制。


このまま“俺”はお払い箱だ。



「なんで何も言わなかったの岐山。
 あ、いや鈴の方がいい?」


「…いつからです?」



一応いつ気付いたのは聞いておこう。



「最初から」


「は!?」



いや嘘でしょマジかよ。


そんなにボロだしたかなぁ。



「ハハッ嘘でしょ…」


「本当だよ?」


「んで?どーするんです?」


「何が?」



「俺は女。そうわかったならもう…」




















「いなくなれって?」




「っ…そ、うですよ。だって俺は…」



「鈴はさ、なんで僕らみたいな人殺し
 集団に入ろうと思ったの?」


「人殺し…集団…。
 でもそれは人を守るからでしょう?
 私は、元々死ぬはずだった人間だ。
 それが少し長引いただけ。
 それに俺は何にもできない出来損ない。
 ならば人のために死んだ方がいい。
 そう思っただけですよ…」


「ふぅ〜ん」



沖田隊長は意味ありげにニヤリと笑いながら言う


その笑みから嫌な予感がして俺は距離を取った。


でも予想していた言葉とは違った。






















「本当に近藤さんが好きそうな奴だね君は」





「は?」





思わず素っ頓狂な声が出た。



近藤さんが好きそうな奴⁇



この俺がか?



いやいやいやないでしょ!?



謎すぎるからそれ!!



「他人の為に自分の命を捨てるって…
 人間の鏡じゃない?」



「…!??」



駄目だ理解が追いつかん。


ドユコト?


つまり俺はまだ新撰組にいて良いの?



「ほら、帰るよ鈴」


「へ!?」


「あ、あと多分土方さんと近藤さんには
 バレてると思うよ」


「!?!?」


「い、いつ頃から…?」


「今さっき」

< 8/ 15 >