社長室に入れば彼にまたぎゅっと抱きしめられる。


「……社長、あなたは一体……」

「“ういくん”」


(……なんで彼が、その呼び名を? 知ってるの?)


「俺は瑠樹だよ。莉子ちゃんは、るきって上手く言えなかったから……いつもういくんって言ってた。」

「……えっ」


もしかして、

あなたは……あのお兄ちゃんなの?



「莉子ちゃん、約束したでしょ? また会おうって……」

「……っ」


彼が私を見つめてきて、目が離せない。吸い込まれてしまいそう……で、胸が高鳴った。

「……俺、もう我慢出来ない。莉子ちゃんに会いたかったんだ、ずっと。」

「….…えっ……」


彼は私の頬に触れると優しくそっと、触れるようにキスをした。


「……俺の初恋の人なんだよ。」