用途やブランドに分けられている衣類。
その中には何となく私の趣味で買ったものだろうというものと、今の自分では想像もつかないようなデザインの服もあった。

「よかったら持って行く?服とかあれば・・・」
嶺が言いかけた言葉を止めた。
「・・・」
私が嶺の方を見ると、不自然に言葉を止めていた嶺が私を見た。

「やっぱりだめ。」
「?」
はじめから持っていこうとは思っていなかった私。でも嶺の言葉の意味が気になり嶺を見たままでいると嶺はまるで駄々をこねる子供のような表情になった。

「この家から鈴が出ていくみたいな・・・離れること認めるみたいな・・・変な感覚になるからダメ。」
なぜかそんな嶺の表情やしぐさに私は懐かしさを感じた。

「『でた・・・大型犬の嶺。』・・・」
自然とわいた言葉を口に出すと嶺が驚いた表情にかわる。