そして、約束の日はあっという間にやってきた。
次の週の日曜日。
今日は、悠里さんの家に引っ越す日だ。
「桜、行くわよー」
「はいっ……」
お母さんに返事をして、家を出る。
もう荷物は先に送ってあるから、今から車で悠里さんの家に向かうのだけど……このマンションには、本当にお世話になったなぁ……。
玄関で靴を履いて、家の中を見渡す。
「ありがとう……バイバイッ」
そう言って、私は家を出た。
助手席に乗り、窓を全開にする。
車が走っているときに、風を浴びるのが好きだ。
お母さんと2人のときはメガネを外しているから、長い前髪も横に流して顔全体で風を感じる。
ふふっ、涼しい。