俺の幼なじみは、世界一可愛い。
薄いピンクブラウンの、ゆるいパーマがかかったロングヘア。
今日はその髪を編み込みにして、新しい花柄のピン留めを留めている。
身長は150センチ程度と小柄で、本人は気にしているが小動物のような可愛さを兼ね備えている。
“可愛い”という言葉は、乃々のために存在していると断言できるほど、可愛い。
放課後になり、ふぅ……と息を吐く。
つまらない授業が、やっと終わった。
今からは……乃々と2人の時間。
「乃々、帰ろっか?」
帰る支度をして、隣の席の乃々に声をかけた。
「うんっ」
笑顔で頷いた乃々に、ため息が出そうになった。
……可愛い。
乃々を見ていたら、頭の中がその言葉で埋め尽くされる。
アイデンティティが崩壊して、バカの1つ覚えみたいにその言葉しか出てこない。
でも、仕方ない。
だってそれほど、乃々は可愛いから。