俺には、幼なじみがいる。
「こうくん、起きて! 朝だよ……!」
俺の名前を呼ぶ可愛いソプラノの声に起こされ、ゆっくりと視界が広がっていく。
申し訳なさそうに身体をゆすってくる手は随分と控えめで、たったそれだけのことが俺の心臓をかき乱す。
「こうくん、起きてっ!」
「……ん゛ー……あとちょっと……」
もうちょっとだけ、2人きりでいたい。
1日の中で、この瞬間が1番好きなんて言ったら、真由はきっと頭の上にいくつもはてなマークを並べるだろう。
世界で1番可愛い真由が、俺だけを見てくれる瞬間。
……まあ、そんなこと本人には絶対言わないけど。