9・広がれ! 働き方改革
 竜王様が許可してくれたので、偉い魔術師のスプルース様が冷蔵庫を作ってくれることになりました。
 ちなみにあの場にいたクールビューティーさんはインディゴ様といって、『知将)』──宰相様だそうです。
 竜王様は私に『詳しい説明をしてやってくれ』と言ったけど、ごめん私、フツーのOLだったんで、冷蔵庫の構造とか知らないんですよねぇ。
「こういう四角い箱で、温度が一定に保たれていて──」
 わかる範囲でスプルース様に説明しました。もちろん絵で。
 画伯な私が悪いのか、説明が下手なのか、スプルース様は眉ひとつ動かしません。
「どうでしょう?」
「……まあ、なんとか、なる」
 伝わってるのかどうか不安になって確認したら、スプルース様は深い緑の瞳でじっと絵を見たまま、静かにうなずきました。
「ありがとうございます!」
 理解してもらえてよかったです。でも、見た目とか性能を伝えただけなので、ちゃんとできるのでしょうか?
「それで、どこに置けばいい?」
「そうですねぇ……使い勝手もあるから、厨房の裏、勝手口からすぐ出たところにお願いします。あそこならちょうど日陰だし」
「わかった」