土日を挟んで月曜日、この日事件が起きた。



朝、下駄箱で靴を履き替える咲希ちゃんは、保健室に葉月くんがいたことがまだ納得がいかないみたいだった。



「ホントに葉月に何もされてないんでしょーね!?わたしが葉月に尋問したっていいのよ!」



それでは拷問になってしまう恐れがあるので私はしっかり否定する。



「違うんだよ咲希ちゃん!?保健室に葉月くんがいたのは、本当に心配してくれてたからで……」


「……ふ、ふぅん。まぁ、わたしより早く琴莉に駆け寄って心配してたし。葉月にもいいとこひとつくらいないとね……!」



……葉月くんが?


球技大会の時、本多くんのボールに向かって飛び出したのは私の方なのに。



「そうだー!今日の放課後、わたしがイケメン観察に連れてってあげる!」



実はイケメンなら毎日観察してるよ、とは言わなかった。


騒がしい廊下を歩いて教室へ向かう途中、咲希ちゃんが急にその場で立ち止まる。



「……え?あれ、葉月じゃない?」



階段を登りきったところには、葉月くんがいた。



それも、女の人と一緒に。