風邪も治り、季節はいよいよ文化祭準備に追われる日々に突入する。


と言っても、私は相変わらず朝から葉月くんばかりを見ていた。



「まーた葉月見てる!いい加減飽きないの?」


「もちろん!だってまだ秘密が解けてないんだよ?」



“ドキドキ制服デート特集”と書いてあるページを憧れの眼差しで見ていた咲希ちゃんが、うんざりした顔を上げた。



「……あのねぇ。だから噂になんかなるんでしょー?だいたいそこまで夢中になるなんて、まさか琴莉ってば、非モテ男のことが好きになっちゃったとかないわよね!?」


「……え、あの。好きっていうか……でも、好きにも色々種類が……」


「いやなにその反応。まさかガチ恋勢か……」



ガチ恋勢なんてわけじゃないけど、こうして葉月くんの秘密を探るうちに、私は葉月くんのことをもっと知りたいって思ってることに気づいた。



「それにしてもホント謎よね、葉月って。東條先輩とも話してるし。だいたいなんであの美人な東條先輩が葉月と!?」


「そりゃ葉月くんがカッコいいからじゃない!?」


「質問だけど視力検査って受けたよね?」


「もちろん!両目とも1.5!」


「……ちゃんと見えてんじゃん」



……と、その時。