「同期会?」


夕食時、箸をもつ手を止めて隼が向かいから優莉を見る。


「そうなんです。久しぶりにみんなで集まろうかって」


優莉と一緒に入社した同期は全員で十二名。比較的仲が良く、たまに同期会と称して集まっている。今回の幹事は門倉だ。


「仲がいいのはなにより。楽しんでおいで」


隼はにこやかに言って立ち上がり、ソファに置いてあったブリーフケースから財布を取り出した。なにをするのかと見ていると、彼はそこから一万円札を何枚か抜いて優莉に差し出す。


「え?」


それをどうしろと言うのだろうか。


「これも足しにするといい」
「いえいえっ、そういうわけにはいかないです」