その夜、隼が帰宅したのは思いのほか早い六時過ぎという時刻だった。

晩ご飯は準備した方がいいのか。それとも余計なお世話なのか。どうしようかとキッチンで優莉がおろおろしているときに「ただいま」と現れ、「ひゃあ!」と悲鳴を上げるほど驚かされた。


「主に向かって〝ひゃあ!〟はないじゃないか」
「すみません。あんまり早いからびっくりしてしまって」


不満そうに眉根を寄せる隼に、慌てて頭をぴょこっと下げる。


「で、そこでなにか探し物?」
「夕食の準備をした方がいいのかなって。でも社長はお仕事でお忙しそうだし、外で食べてくるかなとか」
「残念ながら冷蔵庫にはろくな食材がない。開けてみればわかるよ」


言われるままに冷蔵庫の扉を開けると、目に飛び込んできたのはビールやミネラルウォーターなどの飲み物ばかり。食べられるものといったらチーズやハムといった加工品だけ。隼の言うように食材になりそうなものはなさそうだ。


「な?」