「奈緒。今度の土曜日、休み?」

外科医として働く翔は、内科医の奈緒と 一緒に暮らしていた。
 

「休みだよ。どうして。」

奈緒が聞き返す。
 

「うん。兄貴から電話があって。たまに 顔見に来いって言うから。」




医師になって7年。


まもなく31才になる翔。


同期の奈緒は同じ歳。



翔は多分、結婚のことを 言われるのだと思っていた。
 

「そうだね。翔、しばらく 実家に行ってないでしょう。」

一緒に住み始めた時、翔は 奈緒を家族に紹介した。


奈緒は 一人でも気軽に、翔の実家に 顔を出してくれる。
 

「忙しかったから 仕方ないよ。どうせ 結婚の話しだろう。」

苦笑する翔に、奈緒も頷く。