2年間の 初期研修が 終わりに近付いた秋、翔のお祖母様が 入院してきた。


咳が止まらなくなり 近所の医院で 検査を勧められたお祖母様。



お祖母様の体は、恐ろしい病気に 蝕まれていた。
 

「かなりの広範囲に 癌が広がっていて。年齢的にも 手術は無理ですね。」


翔は 担当の速水先生と一緒に 両親に お祖母様の病状を告げる。
 

「そんな。だって、元気だったのよ。」

母は 両手で顔を覆った。
 

「手術をしないで、治す方法は ないんですか。」


父が 速水先生に聞く。
 

「抗がん剤を 使いますが、どのくらい 効果があるか。」


速水先生が 微妙に言葉を濁す。