「うわ、かわい……」

「新入生? え、モデル?」

「きれー……どこ中だったんだろ」

一人で歩く学校までの道のり。

今までずっと隣にいた羽咲ちゃんはいない。

私、藤沢水都は、誰も知り合いのいない高校へ進学した。

……なんか視線を感じる……なんだろ、どこか変なのかな? 制服の着方がおかしい? それとも髪型? わからなくて、縮こまりながらこそこそと歩いた。

羽咲ちゃんが一緒だったら教えてもらえたのに……。

羽咲ちゃんは、めちゃくちゃ頭のいい学校に行ってしまった。

あの、総真くんと同じ県下トップの高校だ。

本音はわたしも同じ高校に行きたかった……でもわたしではどう頑張っても無理だった……。

総真くんと同じ学校に通うっていう羽咲ちゃんの夢を応援しない選択肢はわたしにはなかったけど、勉強を頑張る羽咲ちゃんをずっと怯えた目で見ていたのも本当……。

卒業したら、羽咲ちゃんは離れてしまう運命なんだ、って……。

総真くんが憎い! 羨ましい! 羽咲ちゃんにあんなに愛されて~~~~っ! 私の親友なのに~~~っ!

……結局わたしは、地元の公立高校に進学した。

同じ中学から進学した子はいるみたいだけど、今まで友達が羽咲ちゃんしかいなかったわたしには、どうやったら友達が出来るのか全然わからない……。

ユイは羽咲ちゃん目当てだったからノーカウント。

……ただ。

羽咲ちゃんと離れたことで、たぶんわたしに届く由羽くんたちの目もにぶくなったはず。

わたしの念願が果たされるときは近いかもしれない……!

父様、母様。水都はこの高校で立派なヤンキーになってみせます!