ケータイ小説 野いちご

Triangle Love 1 ~イブが2人でアダムが1人!?~




1.


今日もかわいいなぁ、リナさん…。

先生の話を黙って聞いているだけの退屈な授業中。

憧れのクラスメイトをこっそり見つめていた。

かわいい。cuteだ。天使だ。

例えるなら、なんだろ。色々あるよな。

大和撫子…。シンデレラ…!違うな。薔薇だ。いや。カトレア…?いや。花でも姫でもなく神だ。

俺の女神…。宇宙…!

『ウチの妹をじろじろ見んな!』

『いてっ!』

隣の席にいるこいつは。

リナさんの双子の姉であるリカ。

『いってーな!蹴るなよ…。』

『授業中にニヤニヤしてる方が悪い!』

『だからって蹴る必要ないだろうが!』

『うるさい!!』

リカと言い争いをしていたら、先生に注意をされてしまった。

教師に目をつけられるとかなり厄介だ。静かにした方が良い。

それにしてもこいつ、リナさんと双子とは思えないよな。清楚で優しいリナさんとは大違いだ。

リカは野蛮だしすぐに怒るし…。

あ、リナさん笑ってる…。ならいっかぁ。

リナさんの笑顔には、どんなことがあっても許してしまう力があると思う。

それにしても…。俺は呟いた。

『…っとに似てねーなぁ…。』

『何か言った!?』

『うるさい!!』

先生の怒号が教室内に再び響き渡った。



2.


チャイムが鳴り、50分間の授業が終わった。

腕を伸ばして軽くストレッチをしていると、リナさん(天使)が俺の席までやって来て、話しかけてくれた。

『ジロウ君、リカちゃんと仲良しなのは分かるけど、授業中は静かにしないとダメですよ?』

リナさんは微笑んでいる。

『はぁ?仲良くねーよ。すぐキレるし、リナさんとは大違い。』

心から思うよ。マジで。

しかし、リナさんはすぐさま否定した。

『そんなことないよ!リカちゃんがあんな感じなのはジロウ君の前だけだし…!』

『それいつも言うよなー。よっぽど嫌いの間違いじゃねーか?』

申し訳ないけど、リナさんの気のせいだと俺は強く思う。

『間違えてないよ!だから…ちょっとだけうらやましいかな…。』

リナさんは、言葉の後半になるにつれて遠くの方を見つめ、言った。

『うらやましい…?俺が?何を言ってんだ?』

俺がそのように尋ねると、リナさんは誤魔化すような笑顔を浮かべた。

『あっ…ちが…そう!えーと…そう言えばジロウ君、プリント出してないよね?放課後に持って行かないといけないから、今のうちに書いてね!』

『マジで!?ごめん、すぐに書く。』

強引に話題を変えられた…?

しかし、そんなことよりも早急にやることができた。

リナさんは、クラスをまとめる学級委員を務めている。ご迷惑をかける訳にはいかない。

リナさん、見ててください。俺がプリントを書くところ!

『ちょっとー。さっさと書きなよー。』

天使との甘い時間を堪能していた所に、鬱陶しいリカ(悪魔)が水をさしてきた。

『ん?うるせーな。』

俺の口からシンプルな言葉が溢れた。

これ以上言うことはない。

『は?うるさくないでしょ!』

リカが声を荒げた。

『まぁまぁ、リカちゃん落ちついて。今はジロウ君にプリント出してもらって、後で文句言おうよ。』

『リナちゃんがそう言うなら…。』

リナさんに宥められて、リカが大人しくなった。

マジでどっちが姉だよ…。

こいつ、完全に妹じゃねーか。

リカは俺が何かをする度に口出しをしてくる。

はっきり言ってうるさいし、鬱陶しい。

顔だけならリナさんと同じだから好きなんだけど中身がなぁ…。

それでも俺は、リカのことが嫌いにはなれない。

うるさい奴だが…。一応、良い所も少しある。

一応とか言ったらまた蹴られるかもな。

なんていうか…。

2年間も同じクラスだと、人の色々な面が見えてくるよなぁ。



3.


放課後になった。俺は、無事にプリントをリナさんに提出した。

ミッションコンプリート。よし、帰ろう。

俺は教室を出た。

校門へ向かって歩いている途中、どこかからテニスボールが飛んで来た。

ん…?テニスボール…?

『あー!ジロウ!それ取って!』

聞き覚えのある声がして振り返ると、テニスコートからリカが話しかけて来た。 

『ほい。』

俺は、転がっているテニスボールを拾って投げた。

『ありがとー。あれ?ジロウもう帰宅?部活は?』

『今日はねーの。じゃあな。…頑張れよ。』

『…!ありがと。』

テニスコートへ戻るリカを見届けた後、再び校門へ向かって歩き始めた。

リカの数少ない良い所。

それは、部活動のテニスは頑張っている所だ。

実績もある。今年の夏は全国大会出場…あと一歩というところまでは進んでいる。

来年は高校生として最後の大会になるから、今から気合いを入れて練習に取り組んでいるようだ。

『やっぱすげーな。』

あいつの試合を見たことがあるけど、とにかく気迫がすごい。

テニスの技術に関しては全く分からないが、何かこう、人に感動を与えるようなプレーをしている。

…普段はうるさいけどな。



4.


その日の夜、俺の天使であるリナさんからメールが届いた。

《明日は部活あるから忘れずに来てね。》

普通に考えて、俺ごときがリナさんの連絡先をゲットできるはずがない。

同じ部活に所属しているという理由だけで、連絡先を知っている。

3年生の先輩達が引退してリナさんが部長になったおかげで、頻繁に部活の連絡が来るようになった。

しかも、部活の連絡ついでに雑談もすることがある。(たまにだけど十分に嬉しい!)

ちなみに、同じ部活なのは偶然じゃない。

リナさんが入っているのを知っていて、俺は入部した。

《了解!》

一言だけ返信をした。

長文だったりラリーが続くような内容だと、ウザいかもしれないからな。

明日は部活だ。気合いをいれていくぜ!



5.


翌日の放課後、部活動に参加する為に多目的教室へ向かった。

俺がリナさんを追いかけて入部した部活は…

英会話クラブだ!

部員は2学期になって先輩が抜けたから6人。活動は週に1、2回という、かなり緩い部活だ。

良い部活ではあるが、俺には向いていないと入部当初からずっと思っている。

というのも、俺は英語が苦手だ。

高校英語のテストも解けないような奴が、英語何か話せるわけがない…んだけど、英語のテストの点は上がった。

一応、成果は出ている…まぁレベル1からレベル2になっただけの微々たる変化でしかないのは事実だ。

部活動開始の時刻になった。

部長であるリナさんが部員達の前に立った。

『全員揃ったので本日の活動を始めます!』

リナさんの柔らかい声音が、教室中に響く。


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