翌朝──。


香織さんが「今から朔を起こしに行くからおいで」って茶目っ気たっぷりに言うから、ついて行った。


その手には、なぜかフライパンとおたま……?


永瀬くんには、もう部屋に入るなって言われたけど、これは香織さんの指示だから仕方ないよね!


開き直って部屋に入ると、それはそれは気持ちよさそうにスースー眠っている永瀬くん。


目を開かなきゃ、王子様みたいなんだけどなぁ。


「ほら朝よ、起きなさ~い!」


香織さんが永瀬くんに近付づいて、耳元でそう叫んだと思ったら。


バシーン!!!


フライパンの底をおたまで叩いたのだ。


「うわあっ!」


永瀬くんは弾かれたように飛び上がり、一気に目覚めた。


わわっ……!
すごい!!


その漫画みたいな光景に、私唖然。


さすが、香織さん。
長年永瀬くんの寝起きと格闘してきただけのことはあるなあ。


でも、これなら永瀬くんに触れずに起こせるし、私にも出来るかも!?