ぼんやりと視界が開けていく。


「あれ……?」


気が付くと、私は自分のベッドの上だった。


「小春っ!」


私を呼ぶ、その声の方に顔を向けると


「……朔……くん」


その顔を見た瞬間、一気に涙がこみ上げてきた。


鼻の奥がツンといたくなって、また視界がぼやけてくる。


ツー……と目の淵を流れる涙を、朔くんが指で拭ってくれた。


そうだ。朔くんが助けに来てくれて、屋上から出られたんだ……。


良かった……。


「……ありがとう」


そこにいるのに、どうしてもそばに感じたくて。


手を伸ばして、朔くんの手をぎゅっと握った。


朔くんは、驚いたような目をしていたけど、引っ込めることもなく。


「怖かったよな」


そう言って、もう片方の手で、私の頭を優しく撫でてくれた。


「私、どうやって……?」