【朔side】


「好きです、つき合ってくださいっ!」


目の前には、顔を真っ赤にした女子。


視界の隅には別の女子ふたりが、胸に手をあてながら心配そうにこの様子を見守っている。


「はあ……」


俺、永瀬朔は天に向かってため息を零す。


移動教室の帰り。ダチ数人と廊下を歩いていると、わーっと女子に囲まれた。


『あのっ、少し時間いいですか!』


まるで拉致にでもあったかのような状況に面食らう俺。


『どーぞどーぞ。邪魔者は消えるから』


俺の代わりに答えたダチは、ニヤニヤしながらそんな俺を置いて逃げて行った。


……裏切りやがって。


俺は女子に呼び出されても絶対に行かない。


誰にコクられたって答えはノーで、時間の無駄だから。


すると、こうやって突撃してきて告白されるようになった。