『朔って呼べよ』


まさか、彼の方からそんなことを言われるとは思ってもみなかった。


クラスで一番苦手だった人なのに、名前で呼び合うだけで、距離がグッと縮まった気がする。


教室ではあれだけこわくて、ノート一冊渡すのに怯えてたのに。


意外と喋ってくれるし、根が冷たい性格じゃないことも分かった。女の子が苦手になった理由も納得できたし。


ここでの生活も、5日目。


香織さんがいなくなっちゃってどうなることかと思ったけど、意外とうまくやっていけそうかな?


しばらくは二人きりの生活なんだし、少しでも仲良く出来たに越したことはないよね。


「よしっ」


腕まくりをして、私は朝の家事をスタートさせた。





約30分後……。


朝食の用意はバッチリ。洗濯ものも干し終わった。


これでカンペキ!


……あとは。