オンライン限定商品のキャンペーンの反響は大きく、家具の売り上げが前年比の120%を達成したようだった。
朝礼で部長から報告された時には涙が出そうなほど嬉しかった。

自分が携わった業務がこうして数字に表れる喜びを初めて実感する。

「えー、嬉しい知らせはこれだけじゃない。辞令が出ているから既に知っている人もいると思うが、今日からここ商品企画部に新しいメンバーが加わることになった」

日高部長はドアの外に顔を出し、その’新メンバー’を呼び入れた。

ゆっくりと入ってきた女性を見た途端、思わず「あっ」と声が漏れた。

「なになに?岡田さん知ってるの?」

興味ありげに小声で問う。

「えっとー…」

フロアにいた人間の視線がその女性に集まった。
彼女はにこっと微笑み、フロア全体に通る綺麗な声で自己紹介をした。

「この度、広報部から異動になりました、宮田 真由美と申します!こちらの業務は初めてで、一からのスタートになりますが、日々勉強して一日でも早く戦力になりたいと思っています。よろしくお願いいたします!」

動画撮影の時に声をかけてくれた、広報部の宮田さんだった。
確かあの時、また近いうちに会うかもとか言っていたけれど、このことだったのかな…?