たっくんから、会社での掟3箇条を伝えられた。

1.上司と部下の関係性を徹底させること
2.付き合ってるからって特別扱いはしない
3.絶対に私情や浮ついた感情を持ち込まない

きっちりと切り分けのできる彼らしい内容だと思った。
要は、会社では今まで通りにすればいいのだ。

私だって接し方はもう慣れたものだし、こんな3箇条がなくてもやって…

「おはよう岡田さん」

「ひえっっ!!おおおおおはようございます!!」

…いけるのか?

たっくんの姿を見るだけで、ベッドの中の出来事がフラッシュバックする。
私はド変態か!!!

彼の方はと言うと、もうさすがとしか言えなくて。
一切顔に出ないし、会社でよく目が合うわけでもない。

「岡田さん、今月の分析データ上がってきたらあっちに回しといて」

「は、はい!」

仕事も指示もテキパキしている。
当の私はというと、業務が手におえないというわけではないが、どうしても気になってしまって彼の姿を探してしまう。

そのたびに、はぁとため息が出る。

たっくんが山本さんと付き合っていた時は、周りが気づかないほどナチュラルに関わっていたと聞いた。
私がこんなんじゃ、たっくんに迷惑がかかる…

気合を入れるために両手で頬を一発ぱちんと叩き、PC画面に集中した。